緑色の想い出

Medium Japan として歩んだ2年間の道のり

Mario Kazumichi Sakata
7 min readFeb 22, 2017

これは僕が Medium Japan として2年間歩んだ道のりのターミナルに辿り着いた時に身体中に巡った言葉たちです。

Medium との出会い

2014年11月18日 — Medium を開くと1件の通知が届いていました。どうやら、僕が書いたストーリーに誰かが足跡を残してくれたみたいです(あとから知ったのですが、この世界ではプライベート・ノートという機能らしいです)。通知そのものは目にしたことがあるので目新しくはないのですが、足跡を辿っていくとポストに1通の手紙が入っていたときと同じような感覚を味わいました。

やあ、僕は Medium のインターナショナル・プロジェクトを率いているビル(仮名)。君、いい文章を書くね。日本で Medium を広げたいと思っているんだけど、公認の担当者を探していて、興味あったりしない?

ちょっとした幸せを見つけました。

本当はもう少し固い表現だった(と思う)のだけれど、後にビルはとてもフレンドリーな人だということがわかったので、意図的にこのような表現を用いてみた。

人間は、褒められると照れてしまう生き物です。僕は人間です。僕も照れることはあります。

ナンパされているのでしょうか。

道を歩いていて友人と勘違いされて声をかけられたかのようでした。思考が数分間停止していましたが、決して良くない頭を頑張って回しました。まずはこの人が信頼できる人なのかどうかを確かめる必要があります。思い切って、ビデオチャットにビルを誘います。

逆ナンパです。

それから2ヶ月くらいでしょうか。何回か、ビルと言葉を交わしていく内に本気のナンパだと確信しました。そして答えます。お願いします、と。告白される女性の気持ちが少しわかったような、気がしました。これからいわゆるボーイミーツガールに分類される恋愛映画を見る時に、少しは共感できそうです。2015年1月31日、後から知ったのですが他にもナンパされたメンバーと一緒に Medium 公認の Medium Japan として新年をスタートすることになります。

よく勘違いされるのですが、Medium Japan はバーチャルな組織です。まるでハッカー集団のような表現ですが、悪いことはしていませんのでご安心を。

Medium Japan は会社ではありません。オフィスもなければ法人登録もしていません。僕は社長ではありませんし、Medium の社員でもありません(そもそも社長が務まるとは思いません)。あるのは、生活の中で隙間時間を見つけては公認ボランティアとして活動している僕含む小さなチームだけでした。

そのため、ほとんどの利用者が Medium に、Medium Japan に期待されていたような活動や対応ができなかったこともありました。そのような言葉を目にする度、耳にする度に、身体中に悔しいという名の虫が湧いてきました。次から次へと。

それでも、かっこわるくても Medium の魅力を1人でも多くの人に知って欲しいという小さな自分の、そしてチームの意思を尊重しました。

誰かがあなたのやっていることを嫌うなら、自分のやっていることに自信をもってください。そういう場合に腹が立たないのなら、おそらくあなたはまだ頑張り尽くしていないのでしょう。

なぜ、やるのか?やる意味はなにか?

ビルから誘われたとき、僕は毎日のように悩みました。いまも、悩んでいるのだと思います。でも、立ち止まっているのは嫌でした。リレーの第一走者のように、動かないと何も始まらないと思ったからです。始まらないと、観客からブーイングが聞こえてきそうです。

どこかで読んだことがあります。悩みがあると自覚した時点で、もう自分の中に答えは出ているのだと。

僕は、やることにしました。さまざまな点で、Medium に強く共感したからです。

1) 書くことが好き

僕にとって書くということは、手と頭のキャッチボールのようなものです。「こういうこと?」と手先を起用に動かしながら文字を介して語りかける手と、「ちょっと違うかな、こうだよ」という信号を手に伝える頭が会話をしています。その時間をなるべく多く楽しみたい、多くの人に楽しんでもらいたいという気持ちを叶えてくれるのが Medium だと直感的に感じました。

2) 読むことが好き

僕にとって読むということは、ジクソーパズルのようです。読むときにひとつひとつの言葉をまるでパズルのピースのように組み立てて自分の心を満たそうとしています。書く人が言葉を選んで組み立てたパズルを、まるでなぞっているかのようです。パズルは、多いほうが楽しい。多くのストーリーが流通している Medium は読むことが大好きな人にも気に入られるはずだと感じました。

3) ストーリーが好き

Medium は、ストーリーという思想を大切にしています。エヴァンの言葉を借りれば、誰にでもストーリーはあります。ただ、それを記すためのきっかけや聞いてくれる人がなかなか見つからないだけ。そして考えました。

世界中の人、ひとりひとりがストーリーを好きになって、結ばれれば世界はいま以上に平和になるかもしれないと。

デジタル媒体はその性質上、ブラウズするときはテーマが中心になったり、ソーシャルメディアの関心を追う形になったりしがちです。

Medium は、ネットワークです。必ず、実現してくれると思います。

最後に、ストーリーを書いている人と、読んでいる人、双方の思いを目にして僕が頭のなかから書き出したもの。

Medium は、言葉と向き合うきっかけを与えてくれています。言葉は、ストーリーは人生を豊かにしてくれます。書く人や読む人を幸せにしてくれます。

このストーリーを書いているとき、僕はこれまでに Medium で影響を受けたストーリーを参照していることに気づきました。頭の中の引き出しがいくつか増えていたみたいです。そして、これからも大切にしていきたい言葉やストーリーに満たされたその引き出しはこれからもずっと使い続けることでしょう。

これが、僕なりに考えた Medium Japan をやる意味でした。ところが 2017年2月22日、決断の時でした。

Medium Japan としての活動は停止しますが、日本における Medium が終わるわけではありません。終わりとは、ひとりひとりが決めるものだからです。

Medium は、ネットワークです。日本以外でも公認のボランティアとして Medium と向き合っていた世界中の仲間と共に、第2章として新しいはじまりを見つけたいと思います。

人生で唯一確かなこと、それは「変化」。どれだけ拒んでも、必ず変化は訪れる。

個人的な話を少ししてもいいですか。先日祖父が死にました。亡くなった後に親戚でご飯を食べているときにはっとさせられたことがあります。祖父は死んでいないと。生き続けていると。大切な何かが本当にこの地球上から消えるときは、その大切な何かが誰の記憶からも消えてしまうときだと。

Medium が、これからもみなさまの頭の片隅にでも生き続けていられますように。

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Mario Kazumichi Sakata

Staff UX Designer based in Tokyo. Born in Brazil, raised in US. Father of two.